§V§


「家庭の事情で、隆くんの家に居候させてもらうことになったんです」

勇気を振り絞って告白した翌日の朝、いきなりあたしの前に
現れたのが涼音ちゃんだった。しかも、

「そ、それに……なんで……なんで……て、手を、手を繋いでたわけ!?」

あたしは見たわよ、二人が仲良く手を繋いでたところ!

(な、なによこの女…従姉妹だかなんだか知らないけど……なぁにが『隆くん』よっ!)

あたしたちは出会った瞬間、お互いをライバルだと認識し合った。
こういうのは理屈じゃない。
すぐさま、あたしはこの恋敵を観察した。

(くっ……この娘、顔は綺麗だし、言葉遣いは上品だし、髪は長くてさらさらしてるし、
それよりなにより……そのおっきなおっぱいはなんなのよ!?)

あたしにないものを全部備えてるなんて……ずるいじゃないのよっ。
しかもどんな神様の悪戯か、涼音ちゃんはあたしたちと同じクラスに編入されてきた。
さらに、席まで隆一を挟んで隣同士。
案の定、この美人の転校生にクラス中は大騒ぎ。

(どうしよう……隆一、涼音ちゃんに横取りされちゃうかも……っ)


それが、あたしが涼音ちゃんと初めて出会った日の出来事。