§V§


「……あたし、水瀬芹奈。隆一の……幼なじみ、よ」

隆くんのお隣さんで、幼稚園から今までずっと同じだった
という幼なじみが、芹奈さんだった。
隆くんと一緒に暮らすと知った瞬間のあの表情で、
私はすぐに芹奈さんが恋敵だと知った。
そして、多分芹奈さんも。
私たちは初めて会ったこのとき、素早くお互いを観察した。

(……ずるい。こんな可愛い女の子がずっと隆くんの側にいただなんて……)

芹奈さんは女の私から見ても可愛い、とても魅力的な人だった。
身長は私より高いし、手脚も細くて長いし、ウエストだってすっごく細い。
ショートカットと大きめの瞳が凄く活発そうな印象で、まるで私と正反対。
隆くんによると、やっぱり学校では凄いモテるみたい。納得。

(どうしよう。隆くん、芹奈さんにとられちゃう……っ)

せっかく隆くんと同じクラス、しかも隣の席になったのに、芹奈さんまで一緒のクラス。
席も、隆くんを挟んで反対側。

なんとなく、波乱含みの学校生活の予感。


それが、私が芹奈さんと初めて出会った転校初日。